甥っ子に教えられた若ハゲ

父親が30歳をすぎるころからハゲだしたと聞いていた僕は、十代の頃から髪の毛を優しく扱ってきました。シャンプーも刺激の少ない自然製品だし、洗髪時も毛の根元の脂分を残さないように気をつけました。

自分が人並み以上に柔らかい毛質であることは分かっていたし、実際、少し引っ張っただけで簡単に数本の毛が抜けてしまいます。

用心を怠るべきでないという意識は絶えずあったのですが、会社に入って仕事に追われるようになると、髪の毛に構うどころではなくなりました。残業が続き、食事も乱れます。自分の姿を鏡で見ることさえ忙しさの中で忘れてしまう日々でした。

それにしてもまだまだ髪の総量は若々しさを保っている。自分ではそう考えていました。しかし、ある日実家に帰ったとき、そんな思い込みはもろくも砕かる羽目に。

姉の子供、まだ幼稚園の甥っ子が、食卓に座ってテレビを見ていた僕の後ろに回り込み、「おっちゃん、禿げてるね」と無遠慮に言ったのです。思わず頭を押さえ「こらっ」とふざけて怒りましたが、後で洗面台に立ち、手鏡を使って調べると、確かに知らない間にツムジの辺りの髪が薄くなっています。

さすがに前髪が後退してきたことは何となく意識していましたが、頭頂部がこんな状態になっているとは気が付きませんでした。若ハゲ、という言葉が頭に浮かびます。

対処法を考えるべきでしょうが、もう面倒くさい気持ちにもなっています。

こうして人間は髪の毛に関して諦めてゆくのでしょうか。m字禿げの原因